スーパーキャパシタ: 高エネルギー密度材料を目指して

2015年08月31日

優れたスーパーキャパシタ性能を持つ材料が開発され、二次電池の代替として期待されている

連続的な金属骨格にオキシ水酸化物が担持された構造のナノ多孔質スーパーキャパシタ材料は、従来の二次電池の代替として有望視されている。
連続的な金属骨格にオキシ水酸化物が担持された構造のナノ多孔質スーパーキャパシタ材料は、従来の二次電池の代替として有望視されている。

© 2015 WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim

単位質量当たりの電荷貯蔵容量(比キャパシタンス)が大きく、非常に広い電圧範囲にわたって動作するスーパーキャパシタ材料が、東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の研究チームによって開発された1。2つの優れた特性を兼ね備えたこの材料は、高エネルギー密度スーパーキャパシタ材料として有望であり、従来の二次電池を補完するばかりか、これらに取って代わる可能性もある。

スーパーキャパシタは、二次電池よりはるかに速く電荷を充放電することができる。二次電池の再充電には数時間かかるが、スーパーキャパシタはほんの数秒で再充電でき、再充電回数も格段に多いため、携帯型電子デバイスからハイブリッドカーまで、さまざまな機器への電力供給源として魅力的である。しかし、エネルギー貯蔵密度が比較的低いという欠点があり、二次電池の約10倍という大型化が必要になる場合が多い。このため、高いエネルギー密度を達成できるスーパーキャパシタ材料の開発が大いに期待されている。

このたび、AIMRのMingwei Chen(陳明偉)教授が率いる研究チームは、この欠点を補完できる材料の作製に成功した。重要なのは、非常に大きな比キャパシタンスと、非常に広い作動電圧範囲(電位窓)の両方を同時に実現できたことである。どちらか一方の特性を示す新しいスーパーキャパシタ材料は数多く開発されてきたが、両方の特性を兼ね備えたものはほとんどなかった。しかし、比キャパシタンスが大きくなり、作動電位窓が広くなるほどエネルギー密度が高くなることから、高エネルギー密度の実現には両方の特性を最大限良くする必要がある。

研究チームのこれまでの研究から、2成分オキシ水酸化物は比キャパシタンスが高いものの、高電位で不安定になるため、作動電位窓が狭くなってしまうことが分かっていた。今回、水酸化ニッケルに銅とマンガンを共ドープして3成分系を作製したところ、重要なボトルネックを超えて電位窓が大きく広がることを発見した。

「ほとんどの活性電極材料では、水の電気分解の熱力学的電位がボトルネックになるのですが、私たちのオキシ水酸化物の作動電位窓は、これを超えているのです」と陳教授は説明する。

この材料は、ニッケル-マンガン-銅合金からマンガンの一部を浸出させてナノ細孔を形成した後、水酸化カリウム溶液中で処理して合金を酸化することによりナノ多孔質金属オキシ水酸化物を生成させるという方法で作製された(図参照)。すでに産業界の高い関心を集めており、「現在、この材料を無停電電源などの大規模エネルギー貯蔵装置に利用しようと、2社と共同研究を進めています」とChen教授は言う。

研究チームは、この材料の構造と組成をさらに最適化することも計画している。

References

  1. Kang, J., Hirata, A., Chen, L., Zhu, S., Fujita, T. & Chen, M. Extraordinary supercapacitor performance of a multicomponent and mixed-valence oxyhydroxide. Angewandte Chemie International Edition 54, 8100–8104 (2015). | article

このリサーチハイライトは原著論文の著者の承認を得ており、記事中のすべての実験データは同著者から提供されたものです。