本学が共同研究により開発した技術で事業化を推進

2019年10月07日

東北大学産学連携先端材料研究開発センター(MaSC)
東北大学材料科学高等研究所(AIMR)
東北大学流体科学研究所(IFS)
長瀬産業株式会社

本学が共同研究により開発した技術で事業化を推進

~ガラスの半永久的な撥水性抑制を実現~

東北大学の寒川誠二教授およびリソテックジャパン株式会社(埼玉県川口市、代表取締役:南 洋一)、SPPテクノロジーズ株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:速水 利泰)、長瀬産業株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:朝倉 研二、以下「長瀬産業」)との共同研究により開発された新技術・超微細加工ナノ構造による撥水性制御が、長瀬産業にて事業化を推進することが決定しました。同社独自技術により量産供給が可能である材料「フェリチン」の供給と、超微細加工ナノ構造による撥水性制御との組み合わせにより、あらゆる材料の撥水性を自在に制御することが可能となりました。これにより、従来のコーティング膜に比べて耐久性を有する恒久的撥水性が実現されます。

研究および事業の内容

新技術・超微細加工ナノ構造による撥水性制御は、東北大学の寒川誠二教授およびリソテックジャパン、SPPテクノロジーズ、長瀬産業らのグループの研究により、ガラス、シリコンを代表にあらゆる材料の表面濡れ性を自在に制御することに成功した世界初の新技術で、自動車用センサーやスマートフォン等のカメラのレンズ部分、各種電子部品、工業用部品などの産業分野でも極めて注目を集めています。特に、自動運転用や安全確保用のセンサー類の市場においては、2020年には2017年比で約1.9倍となる1.7兆円(※1)になると見込まれており市場の伸びが期待される分野です。また、スマートフォンの出荷台数は2020年には2017年比で約1.1倍となる16億円(※2)になる見込みであり、これらの市場を主なターゲットとし事業化を推進してまいります。

現在一般的な手法であるコーティングによる撥水性の制御は、長期間の使用により撥水性を有する層が剥がれる等、耐久性の克服が大きな課題とされていました。新技術においては、独自技術であるバイオテンプレート技術と中性粒子ビーム加工技術を融合し、ガラス等の表面にナノピラー構造を作製することで、従来は困難であった材料の表面へのナノオーダーの均一な加工を施すことが可能となりました。あらゆる材料の撥水性を自在に制御することができ、恒久的な撥水性を実現します。

長瀬産業では、同技術の基盤となるバイオテンプレート技術において、独自の構造・塗布処方を持った物質「フェリチン」の量産供給を通じ、事業化を推進いたします。

フェリチンとは

あらゆる生き物が生体内に作る球殻状たんぱく質で、生体内の鉄イオン濃度の調節に深くかかわっています。動物のフェリチンは外形12nmほどの大きさで、その中には鉄だけでなく様々な金属イオンや有機分子が内包可能な性質を利用し、電子機器、医療、環境等の分野に適用する研究が数多く進められています。

NAGASEグループが有する研究開発機関「ナガセR&Dセンター」では、長年培ってきた独自の遺伝子組み換え技術を駆使し、フェリチンを大量に生産する技術を開発し、2016年に特許を取得しました。

ナガセR&Dセンターとは

NAGASEグループでは、商社をグループ機能のひとつと考え、商社・研究・投資・物流・海外・製造といった各機能との融合によるビジネスの創出に取り組んでおり、ナガセR&Dセンターでは、グループのバイオ関連事業を研究段階から推進しています。

  • ※1:矢野経済研究所調べ
  • ※2:IHS Technology調べ

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