国際ワークショップ
英国とのさらなる連携の強化へ
2014年02月24日
2013年11月下旬、AIMRは、ケンブリッジ大学、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンという英国を代表する2大学と、それぞれ合同ワークショップを開催し、そのめざましい科学的成果の一部について発表を行った
材料科学分野で世界をリードする東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)は、設立当初から国際連携を積極的に推進しており、2013年11月は、重要拠点のひとつである英国との関係を強化する機会に恵まれた。AIMR ジョイントリサーチセンター(AJC)が設けられているケンブリッジ大学とは、数学と材料科学の合同ワークショップを行い、これまでの共同研究の成果が発表されたほか、今後の研究の方向性が示された。2013年は、「長州五傑」として知られる伊藤俊輔(博文)や井上聞多(馨)など、5人の若き日本人留学生が初めて英国に派遣されてから150周年にあたる年であることから、当時、留学生を受け入れたユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)が、この出来事を記念していくつもの事業を企画し、その一環としてAIMRとの合同ワークショップを開催した。
ケンブリッジ大学との数学・材料科学合同ワークショップ
2013年11月20日、ケンブリッジ大学から14名、AIMRから12名の若手を中心とする研究者が同大学に集まり、「グリーンエネルギーのための階層性材料」に関する合同ワークショップを行った。
ケンブリッジ大学には、AIMRが海外に設置している3拠点のAJCのひとつがあり、AIMRと現地の研究者が金属ガラス、ソフトマテリアル、数学に関する共同研究を行っている。今回で2回目となる合同ワークショップには、AIMR主任研究者兼任のケンブリッジ大学Alan Lindsay Greer教授や、AJCのJiri Orava、Katherine Orchard、Demeter Kiss研究員らが参加した。AIMRの塚田捷事務部門長は、「ワークショップのリラックスした雰囲気の中で、将来有望な若手研究者たちが、数学と材料科学について活発な議論を繰り広げていました」と振り返る。
UCLでの日英学術交流150周年記念事業
東北大学では、AIMRを含めた3つの研究機関が、数年前からUCLと独自に学術交流協定を結んで共同研究をすすめており、生命科学、災害科学、材料科学の分野でいくつもの大きな成果をあげている。この結びつきをさらに強化するため、11月21日、東北大学とUCLの間で大学間学術交流協定が締結された。調印式の後には、日英学術交流150周年記念フォーラムが開かれ、東北大学とUCLを代表する研究者がスピーチを行った。フォーラムでは、小谷元子機構長が材料科学分野を代表し、「AIMR紹介:世界トップレベルへ、さらにその先へ」というテーマで記念講演を行った。
翌日はAIMR‐UCL 材料科学合同ワークショップが開かれ、約50名の研究者が参加した。このセッションは材料科学の最近の成果に焦点をあてたもので、AIMRの主任研究者による基調講演を含めて16の講演が行われた。UCLのAlexander Shluger教授は、「どの発表についても非常に深い議論が交わされました。研究者同士が共通の課題を見いだし、共同研究がいっそう促進されることを期待しています」と、今後の研究活動のさらなる発展への期待を語り、ワークショップに参加した多くの研究者の中から未来の共同研究者が出るだろうと予想した。
学術交流の機会が促進される
これらのワークショップは、日本と英国の研究者の双方を刺激し、研究のアイデアと知見を共有する機会を提供して成功裏に終わった。UCLとの人的交流や共同研究プロジェクトの機会が増えることが期待される一方、AJCを通じて学際的な交流を促進することの価値も改めて確認された。
小谷機構長は、「AIMRが英国で展開する研究活動が東北大学の価値を高め、国際化の促進に寄与していることを嬉しく思います」と語る。「AIMRと東北大学は、今や、英国にゆるぎない基盤をもつトップクラスの研究機関になったといえるでしょう」。