バイオマス由来の電極触媒: 持続可能なエネルギー変換への大きな一歩

2025年02月25日

バイオマス由来の電極触媒の機能に基づく分類法

本研究を主導したLiu特任助教(写真右)と藪教授(写真左)

バイオマス由来の電極触媒(BDE)の開発において、材料の最適化を体系的に進めることは難しかった。なぜなら、タンパク質や多糖類など、バイオマス原料に基づいた触媒の分類法が活用されてきたが、BDEが果たす多様な機能的役割を十分に考慮することができていなかったからである。

AIMR研究チームのTengyi Liu特任助教は、「バイオマス成分が活性部位、担体、触媒全体にどのように影響するかについて明確な理解がない状態では、理想的な触媒を設計することは困難でした。この課題が、持続可能なエネルギー技術におけるBDEの可能性を狭めていました」と説明する。

2023年、Liu特任助教と藪浩教授は、先行研究を基にバイオマス由来の電極触媒の進展を分析した。そして、設計に一貫性の欠ける従来のやり方に対して、より体系的に触媒性能を発現させる方法を探った1

今回、研究チームはBDEに新しい分類法を導入することで、バイオマス原料そのものではなく、バイオマス材料が触媒システム全体で果たす役割(活性成分、炭素担体、触媒全体)に焦点を当てている。

「従来法の課題に対処するため、私たちは先行研究を慎重に分析し、新たな手法を通じて鍵となる知見を見出しました。また、合成プロセスを徹底的に調査して真の活性部位を特定し、触媒性能データを検討して指標を決定することで、BDEを分類するための新たな枠組みを構築しました」とLiu特任助教は語る。

BDEを機能的役割と成分指標に基づいて分類したことで、バイオマス材料のデータベースの基盤が完成した。このデータベースは触媒開発の迅速化や持続可能なエネルギー技術の開発効率化に貢献し、さまざまな課題解決に寄与することが期待される。

(原著者:Patrick Han)

References

  1. Liu T. and Yabu H. Biomass-derived electrocatalysts: Low-cost, robust materials for sustainable electrochemical energy conversion Advanced Energy & Sustainability Research 5, 2300168 (2024). | article

このリサーチハイライトは原著論文の著者の承認を得ており、記事中のすべての情報及びデータは同著者から提供されたものです。