電極触媒: 海洋・畜産廃棄物から新たな多機能触媒を開発

2023年03月27日

レアメタルフリー触媒の合成と地球資源の循環を目指した研究戦略

研究室にてホヤを持つ藪准教授

ある種のバイオマスを焼成して得られる炭素は、酸素発生反応(OER)や酸素還元反応(ORR)に利用することができる、レアメタルを必要としない多機能触媒として大きな可能性を秘めている。

2022年にAIMRの藪准教授らの研究グループが発表した論文は、その好例である。本論文では、OER/ORRの両方に活性を有するレアメタルフリー電極触媒の合成に成功したことを報告している1。この研究では、ホヤ由来のセルロース・ナノファイバーやブタの乾燥血粉などの廃棄バイオマスを出発材料として選び、これらを混合・焼成することで、熱分解により鉄、窒素、リンなどの元素をドープした炭素の作製に成功した。作製した炭素材料は実際に優れたORR/OER性能を示し、有望な電極触媒であることが示唆された。

ナノ血炭を用いた発電実験

藪准教授らは、このアプローチをさらに発展させた研究もすでに発表している2。研究では、第3の出発物質としてビタミンB12を加え、最終生成物にコバルト錯体を導入した。これにより、ORRとOER性能の向上に加え、水素発生反応も触媒する3つの機能を有する電極触媒を合成した。

藪准教授は、「現在、この多機能触媒を高性能な空気亜鉛二次電池の材料としてテストしているところです。最終的には、この廃棄バイオマス由来の触媒が、炭素担持白金などのレアメタル電極触媒の代替となり、地球規模の資源・エネルギー循環の実現に貢献できると考えています」と今後の進展を語っている。

(原著者:Patrick Han)

References

  1. Yabu, H., Ishibashi, K., Singh Grewal, M., Matsuo, Y., Shoji, N. & Ito, K. Bifunctional rare metal-free electrocatalysts synthesized entirely from biomass resources. Science and Technology of Advanced Materials 23, 31-40 (2022). | article
  2. Ishibashi, K., Singh Grewal, M., Ito, K., Shoji, N., Matsuo, Y. & Yabu, H. Trifunctional rare-metal-free electrocatalysts prepared entirely from biomass. Advanced Energy and Sustainability Research 3, 2200107 (2022). | article

このリサーチハイライトは原著論文の著者の承認を得ており、記事中のすべての情報及びデータは同著者から提供されたものです。