『AZUL Energy×東北大学 バイオ創発GX共創研究所』の設置について

2024年04月15日

国立大学法人東北大学
AZUL Energy 株式会社

『AZUL Energy×東北大学 バイオ創発GX共創研究所』の設置について

バイオの視点と計算科学の力でサステナブルな材料創製を実現する

発表のポイント

  • 東北大学はAZUL Energy株式会社とGX(グリーントランスフォーメーション)に貢献する次世代材料の開発と人材育成を目指し、2024年4月1日に共創研究所を設置しました。
  • この共創研究所では、再生可能エネルギーを効率的に利用可能なエネルギー材料の創製と、計算科学を用いた高速材料開発ができる人材を育成します。

概要

国立大学法人東北大学 (所在地:宮城県仙台市、総長:冨永 悌二、以下、「東北大学」)とAZUL Energy株式会社(所在地:宮城県仙台市、代表取締役社長:伊藤 晃寿、以下、「AZUL Energy」)は、GX(グリーントランスフォーメーション)(注1)に貢献する次世代材料の開発と人材育成を目的として、2024年4月1日に『AZUL Energy×東北大学 バイオ創発GX共創研究所』(以下「共創研究所」)を設置しました。

バイオミメティクス材料(注2)の研究を推進してきた東北大学・材料科学高等研究所(以下「WPI-AIMR」)藪浩教授らによる藪研究室と、バイオインスパイヤード(注3)触媒を実験と数値計算の組み合わせにより開発してきたAZUL Energyの技術シーズを融合させることで、再生可能エネルギーを効率的に利用可能にするエネルギー材料の創製と、計算科学を用いて高速材料開発ができる人材の育成を目指します。


左から、AZUL Energy株式会社 最高技術責任者 奥 圭介、代表取締役社長 伊藤 晃寿、東北大学材料科学高等研究所 所長 折茂 慎一、教授 藪 浩。中央の「青」はAZUL触媒の原料となる青色顔料を用いた書。

詳細

燃料電池や長期エネルギー貯蔵デバイスでは、地政学的リスクのある白金やイリジウムなどの貴金属を含む触媒を使った電気化学反応によってエネルギーを放出・貯蔵します。

東北大学では血中のヘモグロビンが酸素を運搬するために起こす酸素の酸化還元反応に着目し、貴金属を含まない触媒(AZUL触媒)を開発しました。AZUL触媒は貴金属を含まないだけでなく、貴金属触媒と同等以上の触媒活性を持ちます。また、AZUL触媒はアザフタロシアニン骨格を持つ金属錯体の総称であり、分子構造を変更することにより用途に適した触媒活性を付与することができます。AZUL Energyはアザフタロシアニン骨格を持つ金属錯体にさまざまな官能基を導入した200種以上のAZUL触媒ライブラリを有しており、新規触媒分子探索に量子計算科学を活用しています。

また同大学藪研究室では、生体内や自然界に存在する微細構造に注目し、ウィルスの様な構造を持つ微粒子や、数µm~数十µmの規則的な多孔構造を持つハニカムフィルムを用いた用途研究を行っています。多孔構造体は大きな比表面積を持つことが特徴です。エネルギーデバイスにおける電極反応は反応面積を増やすことで性能を上げられることが知られています。AZUL Energyの触媒開発力と藪研究室の多孔材料開発力を組み合わせることにより、再生可能エネルギーを効率的に利用可能にするエネルギー材料を開発することが可能となります。

上記背景のもと、共創研究所では以下の活動を推進します。

  • 循環型社会に向けたバイオインスパイヤード次世代エネルギー材料の開発
  • ハニカムフィルムなどに代表されるバイオミメティック機能性材料の創製
  • 計算化学による機能材料設計および人材育成
用語解説
注1. GX(グリーントランスフォーメーション)
化石エネルギー中心の産業・社会構造を、太陽光や水力由来のクリーンエネルギー中心の脱炭素社会に転換すること。
注2. バイオミメティクス材料
生物の持つ特異な構造やプロセスを模倣して機能を発現させる材料のこと。
注3. バイオインスパイヤード
生物の持つ特異な構造やプロセスから着想を得て新規技術を開発すること。

共創研究所の概要

  • 名称
    AZUL Energy×東北大学 バイオ創発GX共創研究所
  • 目的
    GXに貢献する次世代材料の開発と人材育成
  • 運営責任者
    • 運営総括責任者
      AZUL Energy 株式会社最高技術責任者 奥 圭介
      (東北大学 特任准教授(研究))
    • 運営支援責任者
      東北大学 材料科学高等研究所(WPI-AIMR)教授 藪 浩
  • 設置場所
    東北大学 材料科学高等研究所(WPI-AIMR)ラボ棟502号室
  • 設置期間
    2024年4月1日から2027年3月31日

問い合わせ先

共創研究所に関すること

東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR) 広報戦略室

Tel: 022-217-6146
E-mail: aimr-outreach@grp.tohoku.ac.jp

東北大学産学連携機構 企画戦略部

Tel: 022-795-5269
E-mail: sanren-kikaku-s@grp.tohoku.ac.jp

AZUL Energy株式会社 奥 圭介

Tel: 022-209-5333
E-mail: inquiry@azul-energy.co.jp