ジグザグエッジの特性を有したグラフェンナノリボンの相互接続

2016年01月08日

東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)

ジグザグエッジの特性を有したグラフェンナノリボンの相互接続

-グラフェンをベースとした超高速エレクトロニクスに向けて-

 東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)のPatrick Han助教、赤木和人准教授、浅尾直樹教授と一杉太郎教授らの研究グループは、ジグザクエッジを有する二つのグラフェン・ナノリボン(GNR)の端と端を、その電気特性を保持したまま相互接続することに成功しました。
 グラフェンは、炭素原子が蜂の巣状に並んだ原子1層分の厚さを持つ物質で、シリコンをはじめとする既存の半導体よりも電子移動度が高いため、超高速トランジスタや透明導電膜などへの応用に向けて、非常に活発な研究が展開されています。ナノスケールサイズで細線(リボン)状にしたグラフェンナノリボンは、細線幅やエッジ形状に依存して電気伝導性などの物性が異なることが指摘されており、これまでにも様々な研究が行われてきました。しかし、二つのグラフェンナノリボンを相互接続した際、接続部において電気特性がどのような影響を受けるのか、未解決のままでした。
 今回、Han助教らは、基板の表面構造を利用した自己組織化法を用いて二つのグラフェンナノリボンを接続し、接続部の電子状態を詳細に調べました。その結果、接続部に原子配列の乱れは無く、電子状態がきれいにつながっていることがわかりました。これは、接続部においても電子が高速に移動することを示唆しており、グラフェンをベースとした超高速エレクトロニクスに向けて、重要な知見を得ることに成功しました。

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Fig. 1. (a) 相互接続されたグラフェン・ナノリボンの走査トンネル顕微鏡(STM)像。
二つのグラフェン・ナノリボンが接続されているために、グラフェン・ナノリボンが折れ曲がっているように見える。インセットは分子構造の模式図。
(b) の上図は、グラフェン・ナノリボンと接続されたグラフェン・ナノリボンのSTM像を示す。この位置において、電子密度測定を行った[(b)下図]。その結果、接続部において、きれいに電子状態がつながっていることがわかった。これは、1-2間(接続された場合)と3-4間(接続がない場合)で電子や熱の伝導に大きな差が無いということを示唆しており、高速な電子伝導が期待される。

 

論文情報

Authors: Patrick Han, Kazuto Akagi, Filippo Federici Canova, Ryota Shimizu, Hiroyuki Oguchi, Susumu Shiraki, Paul S. Weiss, Naoki Asao, and Taro Hitosugi
Title: Self-Assembly Strategy for Fabricating Connected Graphene Nanoribbons
Journal: ACS Nano
DOI:10.1021/acsnano.5b04879(新しいタブで開きます)

※本プレスリリースは英文にて行われました。詳しくは英文版をご覧ください。

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東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) 教授

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