所長メッセージ

「材料」無くして私たちの社会は成り立ちません。金属・半導体・セラミックス・高分子などの様々な材料が、現代のエネルギー・情報通信・医療健康・高速移動などあらゆる技術分野を支えており、多くの技術分野は高度な材料の創製とともに発展してきたといえます。この材料創製を加速するためにも、学術的基盤としての「材料科学」を推進することは今後も不可欠です。

材料科学高等研究所(AIMR)は、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の支援を受け、革新的材料の創製によって社会に貢献することを目指し、材料科学に加えて物理学・化学・数学などの世界的研究者が集結して2007年に創設されました。以来、各研究分野のトップレベル研究を推進するとともに、分野を超えた連携・融合研究も実現しています。2012年には、異なる材料系に共通な普遍原理を見出すべく、数学者である小谷元子教授を新たな機構長(所長)として数学-材料科学連携を開始。純粋から応用に渡る幅広い数学者が材料科学者とアンダーワンルーフで研究することで大きな成功を収め、「予見に基づく材料科学」のための新たな学術的基盤が整いつつあります。

今後は、WPIアカデミー拠点としてこのAIMR独自の学術的基盤をさらに強化するとともに、最先端の計測技術などとも連携して現実の技術分野に展開することで、真に社会に貢献する材料創製を実現して参ります。また、これらの連携・融合研究を通じて多彩なスキルを持つ国内外の若手研究者の育成や多面的な国際連携を推進し、世界の先端材料科学を強力に牽引して参ります。

2022年に創立115周年を迎えた東北大学において、AIMRは創設から17年目となる比較的若い部局です。創設当初から、WPIの基本理念である所長によるトップダウン型の意思決定システムを導入し、様々なシステム改革に取り組んでいます。新たな人事システムの導入や、外国人研究者への多様な支援の展開など、学内における先行事例を数多く構築してきました。AIMRの成果を共有・活用することで、全学的な国際化・研究力の強化にもつながっています。これからも東北大学を担う一部局として、着実な歩みを進めて参ります。

【社会と世界につながる先端材料科学】を実現するAIMRに、今後ともご支援賜りますようどうぞよろしくお願い致します。

東北大学材料科学高等研究所(AIMR)
所長折茂慎一