AIMR本館
AIMR本館は、学都仙台の都心にある東北大学発祥の地、片平キャンパスに位置するAIMRの中核施設です。仙台市街の近代建築物は戦災によってそのほとんどが焼失しましたが、AIMR本館は、戦火を逃れた数少ない歴史的建造物のひとつを再生した建物です。
AIMR本館が建つ片平キャンパス北門は、人通りが多い市街に面しており、ここには1925年から長きに渡りキャンパスの顔として市民の皆様に親しまれてきた旧東北帝国大学工学部金属工学教室の校舎がありました。この場所へのAIMR本館建設にあたっては、歴史的景観の保存を望む市民の皆様の声に応えるため、校舎のスクラッチタイル貼りの外壁一枚だけを残し、それを新設した躯体と結合、外観を大きく変えることなく最新の研究施設として再生することに成功しました。建設工事が終盤にさしかかった頃には未曾有の東日本大震災が発生しましたが、被害はほとんど無く、AIMR本館の耐震性・安全性が実証されました。また、東北大学の原点である「門戸開放」の理念に基づき、北門周囲の重厚なコンクリート塀の境界を取り去り、町並みと自然に繋がる地域に開かれたキャンパスを具現化しました。これにより片平キャンパスは今まで以上に市民の動線として、また交流の場として利用されています。
AIMR本館は5階建てのラボ棟と3階建てのオフィス棟から成り、その間にガラスハットを架けることにより優しい自然光が降り注ぐアトリウムを創出しました。そのため、建物全体が明るくオープンな雰囲気となっています。このアトリウムが主な動線となることで研究者同士の偶発的な出会いが生まれ、さらにその出会いが自然に議論に発展するよう各階に交流用スペースを分散配置しました。
また、アトリウムには低コストで温度調整が行える自然換気システムを、南面バルコニーには壁面緑化を取り入れ、環境に配慮した設計となっています。
AIMR本館データ
竣工 | 2011年10月 |
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階数 | ラボ棟5階、オフィス棟3階 |
建築面積 | 2,513m2 |
延床面積 | 9,183m2 |
企画 | 東北大学施設部、東北大学キャンパス計画室、東北大学AIMR |
設計 | ㈱三菱地所設計、㈱総合設備計画 |
受賞 | 第25回日経ニューオフィス賞(東北ニューオフィス推進賞) |
第33回東北建築賞 | |
平成24年度プレストレストコンクリート工学会賞 |