「サイエンスデイ2014」出展報告

2014年07月23日

7月20日(日)に開催されたサイエンスデイ。朝から小雨がぱらつくあいにくの空模様でしたが、AIMR本館で行われた「最先端ラボをのぞいてみよう!」には、材料科学と数学の融合研究に挑むAIMRの実験室や装置が間近に見られるとあってか、多くのみなさまにお越しいただきました。

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ジャイロ効果を体験

最初に向かうのは、普段研究者たちが情報交換をしたり、リラックスしたりする空間である、交流スペース。ここでは、いくつかの簡単な実験を行いました。
1つ目は車輪を使った実験です。回転可能な椅子の上に座り、手に自転車の車輪をもち、その車輪を回転させて傾けると、勝手に体が傾けた方向へと回っていってしまいます。これは「ジャイロ効果」と呼ばれる現象によるものです。 次に、振り子が3つ連なった3重振り子の実験。まず初めに、振り子を振ってもらいその動きをよく見てもらいます。次にもう一度、同じような高さから振り子を落としてみます。すると、さっきまでとは全く違う動きを見せます。実は、振り子を離したときの力や角度などの小さな違いによって、予測できない動きになってしまうのです。このような現象を、「カオス」と呼びます。 「ジャイロ効果」と「カオス」。この二つは、AIMRの重大なキーワードである、「数学」ととても関係が深い現象です。
さらに、「材料科学」の世界へと皆様を誘います。まずはゴムの不思議な性質について、風船やスーパーボールを使用して体験してもらいました。さらに、一見ただの黒い液体のように見える不思議な磁性流体や、自然界から立方体に近い状態で発見された黄鉄鉱も実際手に触れて、みていただきました。

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SEMを操作

次に向かったのは、共通機器室。普段研究で使用している走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、物質が観察出来るのです。このSEMは最大100万倍までの倍率まで拡大することのできる装置ですが、そんなSEMを使い、まず観察したのは500円玉。実は500円玉には、肉眼では見ることのできない小さな文字が隠されています。参加者のみなさんには実際にSEMのコントローラーを操作してもらい、どこに秘密の文字が隠されているのか探してもらいました。意外なところに隠れている文字を発見した時には、「あった!」と声が挙がりました。

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SEMで見たアワビの貝殻の断面

次に観察したのは、玉虫の足、トンボの羽、アワビの貝殻。 「この3つの共通点は何でしょう?」とスタッフが質問すると、「きらきらしている」との回答が。そう、この三つはきらきらと光沢のある輝きを放つのです。これは構造色といわれるもので、実際SEMで見てもらうと、表面にそれぞれ突起のようなものや、幾層にも重なった構造が確認できます。この構造に光が当たり複雑に屈折することによって、きらきらと輝いているように見えるのです。参加者は普段見ることのできないナノスケールの世界に興味津々の様子で、最後には、「楽しかったです!」と口にして、AIMR本館を後にしました。

今後もこのようなイベントを通じて、一人でも多くの皆様が材料科学に興味をもっていただけるよう、さらには多くの子供たちが、材料科学者を目指してくれるよう、アウトリーチ活動を続けていきたいと考えています。ご来場ありがとうございました。

関連情報

問い合わせ先

中道康文、皆川麻利江
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) 広報・アウトリーチオフィス

住所 : 〒980-8577 仙台市青葉区片平2-1-1
TEL : 022-217-6146
FAX : 022-217-5129
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