「世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」10周年記念講演会のご報告

2017年01月10日

「美しい……。それは数学者にとって一番の褒め言葉です」
小谷元子AIMR機構長の講演は、そんな一言から始まりました。聴衆は、数学の魅力を語り始めた数学者の言葉に興味津々の様子で耳を傾けています。

12月17日(土)、東京・霞ヶ関の文部科学省講堂において『WPI10周年記念講演会』が開催されました。黒木登志夫WPIプログラムディレクターの基調講演から始まった講演プログラムは「科学は深く、美しい」、「生命は謎に満ちている」、「科学は社会に貢献する」という3つの大テーマで構成され、9人の研究者が講演を行いました。9つの講演は、宇宙、惑星、数学、生命、睡眠、免疫、材料、分子、エネルギーと、複数の階層にわたる様々なテーマによって語られ、異なる視点による科学の魅力と有用性、そして科学に宿る希望が語られました。
3つめの講演である小谷機構長のお話は、一般的に信じられている数学のイメージや数学の魅力から始まり、小谷機構長自身の人生における数学との関わり方、専門研究分野である離散幾何解析学の話題、材料科学に数学を導入した最先端科学の話題へと進んでいきました。かつては「美しい学問だが社会にはあまり役立たない」と思われていた数学が21世紀になって、にわかに有用になってきたという現状を聞いて、聴衆の数学に対するイメージは少なからず変化したことでしょう。
講演会は、野依良治 JST研究開発戦略センター長(2001年ノーベル化学賞受賞者)による総括講演「科学が導く日本の未来」により締めくくられ、その後、各講演者と聴衆との交流タイムが設けられました。科学に興味を持つ高校生などたくさんの聴衆が小谷機構長を囲み、和やかな会話が交わされていました。

WPIプログラム10年の蓄積を背景に、密度の濃い数々の講演が行われた記念講演会は、聴衆の惜しみない拍手と笑顔をもって成功裡に終了しました。この模様はWPI事務局によって、Youtubeにアップされています。どうぞ、ご鑑賞ください。

世界トップレベル研究拠点プログラム 10周年記念講演会(新しいタブで開きます)

問い合わせ先

清水 修
東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR) 広報・アウトリーチオフィス

TEL : 022-217-6146
E-MAIL : aimr-outreach@grp.tohoku.ac.jp