3つの発展ターゲットプロジェクト

AIMRの材料科学は、物質・材料の最小単位である原子・分子の完全な理解とその制御を基盤とした材料創製を究極の目標としています。この目標を達成するため、AIMRは2019年、新たに3つの「発展ターゲットプロジェクト(Advanced Target Projects:ATPs)」を始動させました。ATPsでは原子・分子からなるミクロスケールの理解と、それらの精密な制御を、メソ、マクロスケールまで一貫してつなぎ、新しい機能を発現する材料創製を目指します。

トポロジカル機能性材料の局所構造制御

これまでに局所構造の高度な測定と原子制御を確立した。ATP1では、新たなトポロジカルおよび量子機能材料を実現するために、材料科学と数学の連携で「局所」と「大域」をつなぐフレームワークの構築を目指す。

具体的なターゲット
次世代エレクトロニクスで応用が期待される電界効果強磁性材料、トポロジカル絶縁体等を開発し、量子コンピュータ等の開発に資する電子・磁気デバイスの創製をターゲットとしていく。

結合多様性とその時間発展の統合制御

これまで静的な複雑な構造の特性評価に計算ホモロジーを用いてきた。ATP2では、パーシステントホモロジーと高度イメージング技術およびシミュレーション技術を組み合わせたマルチモダリティアプローチによって、動的システムの時間的および空間的特徴を明らかにする。

具体的なターゲット
結合多様性や高次水素機能等に時間発展の制御を行うことで高速イオン伝導材料、超伝導材料を開発し、創・蓄エネルギーに資するデバイスの創製をターゲットとしていく。

自己組織化の高度化と応答制御

これまで階層構造の普遍的記述について研究をしてきた。 このような階層構造は、反応性と応答を制御することにより、機能的なデバイスになる可能性がある。 ATP3では、生物学的/非生物学的界面とバイオネットワークについて調査して、生物学的機能の実応用における指針を得ることを目的とする。

具体的なターゲット
自己組織化や生体模倣あるいは動的生体反応等を活用してナノバイオハイブリッド材料、バイオミメティック材料を開発し、再生医療や感染症対策に資するデバイスの創製をターゲットとしていく。

数学-材料科学連携の更なる進化

AIMRでは数学-材料科学連携の組織の強化のため、平成24年度に6名のインターフェース研究者を採用し、材料科学者と数学者の橋渡し役を担ってきました。このような取り組みの結果、材料科学者と数学者が仲介役を必要とせず直接議論できるようになり、平成28年度に数学者と理論研究者からなる数学連携グループに進化しました。現在では、発展ターゲットプロジェクトを成し遂げるため、材料科学の機能課題に最新の数学を適用して新材料の開発やデバイス創製に関する融合研究を強力に進めています。