科学史の必要性
日経朝刊に中山迅氏による「「科学とは」授業で欠落」という記事でいくつか思い出したことがある.科学はなぜ必要か?という問いに,それは「騙されないために」と言い切ったのは,冨永靖徳氏であったと記憶しているが,科学は一部の学者に任せておけばよいということではなく,生きていくための必需品としての位置付けが必要だろうという内容が含まれていた.昔フランスで,友人が講義があるので,2時間ほど待っていてくれ,ということで,偶然覗いた教室でやっていたのが,科学者(多分フーリエだった)のレターのやりとりを題材に科学史を勉強しているクラスだった.数学や物理学専攻の学生対象ではなく,文系の学生だったと記憶している.彼らの感覚はより身近なものとして隣にある科学というものに近いかもしれない.日本にも寺田寅彦はじめ,それに適した題材が結構あるだろう.ただその時間的蓄積は短く,科学史と言えば西洋科学史となってしまうのが残念である.