ピタゴラスイッチ-その2-

きわどい綱渡りのからくりを組んだ連鎖型の仕掛けは前に述べたルーフ・ゴールドバーグマシーンと言われるが,それは現代社会のインフラ全般と共通する.システムが高度化すれば,一部が破壊されたときの損害は極めて広範囲に及ぶ.道路,鉄道,ATM,断水,停電,医療,運輸 いずれをとってもごく一部の損傷は全体に及ぶ.某銀行のネットワークシステムも例外ではない.問題はそれを根本からやり直すのは膨大な時間とエネルギーを費やさねばならないことだ.よってとりあえずのパッチを当てることで対処することとなる.しかしこの先送りは次のより甚大な被害の原因ともなりうるのは明らかである.可能ならば
1.最初の設計には十分な時間と広い視点からの検討が不可欠.
2.誤りや,故障は小さい内に,即修正する.
3.常に全体の動きを見ること.
とできれば理想であるが,そこまで待てないのである.これらは「失敗学」の教訓とも共通する.2013年に明治大学の現象数理学コロキウムで「待てない社会と忘れられたスケール」という題目でしゃべらせていただいたことを思い出す.http://www.mims.meiji.ac.jp/seminars/colloquium/files/colloquium001.pdf
さてピタゴラスイッチにおいて,どこか一カ所でも壊れれば,ビー玉はうまく進まない.しかしそこをこうすれば 切り抜けられますよという例も面白いだろう.実際そのヒントは既に満載である.抜け道,隠れ道,むだ道,仕掛け道,なんでもよいが,それにより被害が伝播しなくなる.

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