
このようなコンソシアムで重要な点は、広い産業分野にまたがって潜む、新たな共通の課題を、見出すことができることだと思っています。一つ一つの共同研究では、ニーズがわかっても、目先の課題しか見つかりません。しかし、広い産業技術のニーズを知り、その解決のための本質的な課題を整理していくうちに、その底流に潜む、共通の本質的な課題を見出すことができる可能性があります。それは必ずしも、共同研究のニーズとは無関係に見えるものだったりします。一企業・産業には見えないものだったりします。それを抽出できる可能性を秘めているのがコンソシアムです。大学の重要な役割は、未来の広い産業分野に共通の本質的な課題を抽出することだと思います。それが見つかれば、それは、大学がチャレンジすべき新たなサイエンス研究の種を見つけたことと同じです。
技術を単に世界へ発信していくという一方向の動きではなく、基礎から応用まで研究できる土壌を生かして、様々な企業からのニーズを知ることで多数のニーズに共通して応えることが可能なサイエンスを抽出して、研究する場があるということは非常に重要なことだと思います。これは欧米、韓国や中国のどこを見渡しても他にできることではないと思います。