日本における超臨界ナノ粒子合成の研究開発と新たな課題の抽出|阿尻研究室|東北大学 WPI-AIMR 原子分子材料科学高等研究機構ソフトマテリアルグループ多元物質科学研究所プロセスシステム工学研究部門 超臨界ナノ工学研究分野

超臨界を語る

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【Vol.07】日本における超臨界ナノ粒子合成の研究開発と新たな課題の抽出

超臨界を語る|阿尻研究室25年前に、超臨界法によるナノ粒子合成プロセスを提案して以来、多くの企業と共同研究を行ってきました。触媒、顔料、蛍光体、誘電体、磁性体など、自動車から電気・電子、印刷、化粧品産業に至るまで、幅広い産業分野での適用が検討されてきました。まさに、大学から産業へ向けてのテクノロジートランスファーです。

その共同研究開発の中で、これらの産業に共通した課題があることがわかりました。ナノ粒子そのものの物性が良くても、その粒子がすぐに使われるということではないということです。最終的に、デバイスや新材料を作る工程では、ナノ粒子は溶媒や高分子に分散させて使われますから、その分散ができないと加工できず、却って従来のマイクロメータサイズの粒子の方がましだったということになりかねません。実際、無機ナノ粒子は、有機溶媒や高分子とは親和性が低く、分散そのものが難しいというのが大きな問題でした。

また、一方、当時、より大きな視野で産業社会を見てみると、材料開発の背景も大きな変化が現れてきたときでもありました。