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研究内容

1. 幅広い科学技術分野と数理科学の協働

多様な数理モデルとそれに基づく数値シミュレーションを用いて、環境科学、臨床医学、材料科学などから人文社会科学分野に渡る幅広い分野の研究者と連携・協働しています。数理モデルを構築するということは、これらの現場の問題に対して、そこに内在する重要な論理やメカニズムを何らかの数学的形式で表現することです。その表現方法は、偏微分方程式系であったり、ネットワーク構造を表すグラフであったり、複雑な形状・形態に対する幾何学的表現であったりします。数理モデルを作ることができれば、それをコンピュータ上に実装してシミュレートすることが可能になり、それによって現場の環境ではテスト不可能な様々な条件での数値的実験や比較検討が可能になります。数理モデルの構築においては、数学的厳密さを担保することは当然ながら、現場で何が求められているのかを確実に把握することが特に重要になります。

2. 種々の連成問題に関する研究

異なる物理過程や異なる空間・時間スケールにおける現象の連成問題を扱っています。このような問題は数理モデルを現実の現象に適用しようとするときにしばしば現れます。たとえば、液体とその中の粒子の運動の連成、血流と血管壁の運動のような流体とその流路の運動の連成、大気の運動と湖水や海水の運動の連成などが挙げられます。このような運動は異なる方程式系によって表現されており、その相互作用を正しく評価するには、取り扱う現象に適した手法を構築する必要があります。複数システムから成る連成系の方程式を解こうとすると困難な点が多く現れますが、そこにはひとつのシステムでは見られない豊かな物理現象を見ることができます。

3. 数値シミュレーションや可視化手法、機械学習に関する研究

数値シミュレーションの手法を研究すると共に、その結果を表示するための可視化手法についても重要視しています。数理モデルの解をその本質に沿った形で提示することは、他人に説明するためのみならず、研究者自身の理解のために欠かせません。また、近年盛んに応用されている機械学習については、その学習過程を調べることで様々な分野の熟練者が持っている暗黙知をとりだすことができるのではないかという取り組みを続けています。