研究概要

① 電荷ースピン結合デバイスの研究

代表的なデバイスが磁気トンネル接合です。
当研究室ではその特性(トンネル磁気抵抗効果)を飛躍的に高めるための素子の材料の研究を行っています。
磁気トンネル接合とは、磁石の性質を有する導体薄膜で絶縁体薄膜を挟み込んだ積層型の素子です。
各層は数ナノメートル程度の厚みです。絶縁体の上下の導体に電圧を加えると量子力学的トンネル効果により電流が流れます。
上下の二つの磁石の磁化(磁極の向き)が平行な場合と反平行な場合で素子の電気抵抗が変化するトンネル磁気抵抗効果(TMR効果)を発現するため、TMR素子とも呼ばれます。
この素子は、磁気センサーやハードディスクの磁気ヘッドに用いられてきました。
最近では、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)の開発が世界各国のメモリ企業で進んでいます。
また、これを用いた様々な人工知能ハードウエアの基礎研究も世界的に進められています。
トンネル磁気抵抗効果はこれら様々な応用製品の性能を左右する最も基本的な特性です。
当研究室では、新しくてオリジナルな磁性体電極材料や素子絶縁バリア材料を追求し、
また他のグループと共同で計算科学や情報科学、機械学習も取り入れたユニークな研究開発を進めています。

② 光-スピン結合デバイスの研究

レーザー光によってナノ磁性体中の磁気(スピン)の状態や運動を制御する研究を行っています。
またその高効率化のための基礎物理や材料の研究を行っています。
磁性体には磁気(スピン)の織りなす様々な波動が存在することが古くから知られています。
スピンの波動やスピンの状態を情報の記憶、処理、伝達のキャリアとして用いた低電力・高速ノイマン型計算機や非ノイマン型計算機の研究が世界的に進められています。スピンの運動に要するエネルギ―は非常に小さいため、高エネルギー効率の新しい計算機ができる可能性があるためです。
当研究室では、レーザー光を用いたオリジナルのスピン測定技術を構築し、ポンププローブ顕微鏡やテラヘルツ波放射なども用いたオンリーワンの研究を進めています。