CREST

JST 戦略的創造研究推進事業 CREST
研究領域「実験と理論・計算・データ科学を融合した材料開発の革新」
研究課題「計算科学を用いた磁気抵抗スイッチ素子基盤材料の創出」(2017.10-)

当研究室では、JST-CRESTにおいて、電荷-スピン結合デバイスの代表である磁気トンネル接合の特性を飛躍的に高めるための素子材料の研究を行っています。磁気トンネル接合とは、磁石の性質を有する導体薄膜で絶縁体薄膜を挟み込んだ積層型の素子です。各層は数ナノメートル程度の厚みです。絶縁体の上下の導体に電圧を加えると量子力学的トンネル効果により電流が流れます。上下の二つの磁石の磁化(磁極の向き)が平行な場合と反平行な場合で素子の電気抵抗が変化するトンネル磁気抵抗効果(TMR効果)を発現するため、TMR素子とも呼ばれます。この素子は、磁気センサーやハードディスクの磁気ヘッドへ応用され、現代社会には欠かすことのできないスピントロニクスデバイスの一つとなっています。最近では、これを応用した磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)の開発が日本を含めた世界各国のメモリ企業で進んでいます。また、これを用いた様々な人工知能ハードウエアの基礎研究も世界的に進められています。トンネル磁気抵抗効果はこれら様々な応用製品の性能を左右する最も基本的な特性です。当研究室では、巨大なトンネル磁気抵抗効果を示す材料の開発を目指し、磁石の性質を示す導体や素子の絶縁バリアとなる独自の材料を追求しております。また、海外や国内の研究グループと共同で、機械学習と物性の計算機シミュ―レションを組み合わせた素子材料開発の手法や、ベイズ推定を取り入れた効率的な素子材料探索など、ユニークな研究開発を進めております。

例えば、最近の成果として、自然には存在しない準安定な相の新磁性体を研究開発し、大きな素子特性を得ることに成功しています。

High tunnel magnetoresistance and magnetism in metastable bcc Co1−xMnx - based magnetic tunnel junctions, K. Kunimatsu, T. Roy, J. Okabayashi, K. Elphick, T. Tsuchiya, T. Ichinose, M. Tsujikawa, A. Hirohata, M. Shirai, and S. Mizukami, submitted (2020); arXiv:2010.03775

Magnetic tunnel junctions with metastable bcc Co3Mn electrodes, K. Kunimatsu, T. Tsuchiya, T. Toy, K. Elphick, T. Ichinose, M. Tsujikawa, A. Hirohata, M. Shirai, and S. Mizukami, Appl. Phys. Express 13, 0830007 (2020). (Spotlight 2020)

Fabrication of magnetic tunnel junctions with a metastable bcc Co3Mn disordered alloy as a bottom electrode, K. Kunimatsu, T. Tsuchiya, K. Elphick, T. Ichinose, K. Z. Suzuki, A. Hirohata, and S. Mizukami, Jpn. J. App. Phys. 58, 080908(R) (2019).