研究内容|阿尻研究室|東北大学 WPI-AIMR 原子分子材料科学高等研究機構ソフトマテリアルグループ多元物質科学研究所プロセスシステム工学研究部門 超臨界ナノ工学研究分野

研究内容

金属酸化物粒子の有機表面修飾

超臨界水の大きな特徴の一つとして,有機溶剤と混じりあうことができるようになることも挙げられます。
この性質を使うと水溶液と有機溶媒を原料とした合成が可能になります。
この特徴を利用して先に挙げた金属酸化物粒子の表面を有機化合物(カルボン酸・アミン)で修飾することができます。
従来の水熱合成では困難とされてきた,疎水性表面をもち,高い表面エネルギーをもつ金属ナノ粒子に有機化合物を 修飾することができたわけです。
表面を有機修飾することで金属酸化物粒子がほかの有機化合物に親和性をもつことができるようになります。
これによって有機無機ハイブリッド材料の開発が可能となり,ポリマー中に高質量分率で充填することで熱をよく伝える樹脂をはじめとして,これまでにない材料の開発に貢献しています。
また,この親和性により高質量分率で有機溶媒中に完全分散させることができます。
さらにこのような状態でも,粒子分散溶液の粘度が,ほかの粒子を同質量分率で分散させたものよりも低くなること が測定されています。
これは粒子表面の状態が大きく寄与していると考えられ,現在WPI-AIMRの数学グループと共同でこの現象のメカニズムの解明に取り組んでいます。