た行
- 多孔質材料(ナノポーラス材料)
- 物質内部にある多くの細孔がランダムに繋がったスポンジ状の構造を持つ材料のことです。
- チタン酸ランタン
- チタンとランタンと酸素の化合物、化学式はLaTiOx(X:酸素組成)。リチウムを添加したものはリチウム電池用材料(電解質)として利用されます。
- 脱合金化法
- 合金から特定の元素を選択的に腐食させて、溶出させる方法。選択腐食ともいいます。
- チップデバイス
- 数cm角のガラスやプラスチップなどの基板上に、センサなどが配置されたデバイスのことです。
- 中性粒子ビーム
- プラズマ中に存在する正イオンあるいは負イオンは、電界により加速されると、原子分子、電子、壁などとの衝突で電荷交換して中性化されます。この時、運動エネルギーは保存され、方向性を持った中性粒子ビームを生成します。寒川教授はフッ素・塩素負イオンを直流電圧により加速することで電荷放出を促し、世界で初めて超高効率・低エネルギー高密度中性粒子ビームを形成しました。この中性粒子ビームでは、プラズマからの電荷や紫外線が一切基板に到達しないので、プラズマダメージは完全に抑制されます。
- 超高分解能走査透過電子顕微鏡
- 0.1ナノメートル(1億分の1センチメートル)程度まで細く絞った電子線を試料上で走査し、試料により透過された電子線の強度で試料中の原子を直接観察する装置です。
- 超常磁性
- 磁石の微粒子が示す磁性のこと。微粒子では磁化方向が熱的に無秩序に揺らぐため、磁気的な乱雑さの原因となります。
- 超伝導(体)
- 電気抵抗がゼロになる現象を超伝導(superconductivity)、超伝導状態にある物質を超伝導体(superconductor)と呼びます。絶対零度(−273.15℃)に近い非常に低い温度に冷却すると比較的多くの物質が超伝導状態になりますが、温度の上昇とともに超伝導の性質を失うため、現時点において室温で超伝導になる物質は見つかっていません。物理学分野では「超伝導」と表記することが多いですが、特に電気工学分野では「超電導」と書かれることがあります。超伝導体は電気をロスなく遠方まで運ぶことが可能であり、エネルギー問題を解決する有力な候補として、より高温で超伝導になる物質の探索が続けられています。
- 超分子
- 異なった複数の分子やイオンが弱い相互作用により集まった分子集合体こと。もとの個々の分子とは異なった物性や機能を示します。
- 転位
- 原子の配列あるいは結晶格子が外部の圧力等により一つの線に沿って乱れが生じることをいいます。
- ディラック電子
- 固体中の電気伝導を担う電子は、通常有限の有効質量をもって運動していますが、特殊な状況下では、今から約80年前に英国の物理学者ディラック(1933年ノーベル物理学賞)が提唱した質量ゼロの相対論的フェルミ粒子の運動を記述する「ディラック方程式」に従って固体中を運動すると理論的に予言されていました。このような状態にある電子は非常に動きやすい上に、量子効果を示しやすいという特徴があります。
- 電荷密度波
- 電子がもつ電荷が、結晶の周期性とは異なる周期性を持って規則的に分布する現象です。半導体や金属、超伝導など種々の特異物性の発現に重要な役目をはたすことが知られており、特に低次元性を有する物質に多く見られる現象です。
- 電気化学測定
- 測定物質を電極上で反応させる事で、測定物質の量などを計測する測定法。市販の血糖値計には、電気化学測定法が用いられています。
- 電子エネルギー損失分光器
- 電子線が試料を透過する際に原子との相互作用によって失うエネルギーを測定することによって、物質の構成原子やその化学状態を分析する装置です。
- 電場
- 電荷により生じる電気力の働く空間のことです。たとえば走査トンネル顕微鏡では、金属製の針(探針)と試料の間に電場が生じます。電界ともよばれます。
- ドーピング
- 母体結晶には存在していない不純物元素を、意図的に少量添加することをいいます。結晶の構造や物性を制御するための重要な技術です。
- トポロジカル絶縁体
- 固体は物質内の電子状態によって、金属、絶縁体(半導体)、超伝導体と分けることができますが、位相幾何(トポロジー)の概念を物質の電子状態の解析に取り入れる事で、これまでの絶縁体とは一線を画す新しい絶縁体物質として2005年に提唱されました。3次元物質では表面に、2次元物質ではエッジ(端)に、不純物の散乱に対して非常に強い電子の伝導路が形成されます。この伝導路は電子のスピンが上向きか下向きかで分かれており、これまでの物質にはないスピンの応答や制御ができることで、新しい量子現象やスピントロニクス素子開発ができる分野として、国内外で精力的な研究が行われています。