多様なキャリアパス

「最先端装置を使った研究の経験が今に活きる」

リウ ホングェン

(前所属)AIMR助教
(現所属)中国科学院物理研究所 特任准教授

私は、2001年に北京大学で電子物理学のPh.Dを取得した後、2003年12月まで中国科学院物理研究所の助教として勤務しました。その後、大阪大学産業科学研究所へ移り2008年3月までの間、ポスドクや常勤の特任助教としてSTM発光分光の研究を行っていました。

AIMRでは、2008年4月から2011年11月まで、Xueグループの助教として研究する機会を得ました。在任中は、一杉グループ、ChenグループといったAIMRの他グループとの共同研究を行いました。表面物理学の研究において、私自身初めて低エネルギー電子顕微鏡や光電子顕微鏡(LEEM / PEEM)という最先端の装置を利用し、トポロジカル絶縁体Bi2Te3超薄膜の界面特性に関する研究を進めました。(参考文献:Nano Lett.11, 2601(2011))。また、AIMRが推進している開かれた研究環境に触発され、AIMRが独自に行っている融合研究費に応募し、2件が採択されました。そのおかげもあり、Chen グループが合成したナノポーラス金フィルムを使用した表面増強ラマン散乱の実験に取り組むことができ、金フィルム表面に吸着した1分子が発する蛍光の検出に成功しました(参考:Scientific Reports 1,112(2011))。

AIMRに満ちている研究への情熱は、本当に忘れがたいものです。私はその後、AIMRで学んだ光電子顕微鏡の知識を生かして、2011年11月より中国科学院物理研究所の特任准教授としての職を得ることができました。現在は上海"ドリームライン"計画の一環として、光電子顕微鏡の研究に取り組んでおります。

「現在につながるAIMRでの融合研究」

野内 亮

(前所属)AIMR助教
(現所属)大阪府立大学 特別講師

私がAIMRの一員となったのは2008年4月のことであるから、AIMR発足後半年が経過した頃である。当時は未だ人員増強の只中であったが、在籍していた4年間の中でAIMRは有形無形問わず大きく変化をし、その変化の中で私は少なからず成長することができた。

2009年度に支弁が始まった融合研究費は、そういった変化の一つである。当初は申請に対する周りからのプレッシャーもあり獲得したものではあったが、それがきっかけとなって始まった有機合成化学者のグループとの共同研究は思わぬ成果につながり、現在でも私の重要な研究テーマの一つとなっている。素晴らしいテーマを思いついたとしてもその通りに研究が進展するとは限らない。とりあえずやってみる、そこから見つかる思いがけないものを拾い上げることで次へつなげていく。そこで見つかるものの思いがけなさの度合いは、やはり、自身の範疇では収まらない融合研究の場においては、侮れず大きく成り得る。そのテーマは研究費の獲得につながり、また、今の私のポジション獲得にも少なくない後押しをしてくれたと感じている。

私は今、大阪府立大学に設置されたナノ科学・材料研究センターにおいて研究室を主宰し、AIMRに在籍した4年間で成長し手に入れた力を試す場をいただいている。当センターには私と同じ立場の若手研究者が多く在籍し、学生さん達と共に日々試行錯誤しながら研究室運営を行っている。また、各研究室間の共同研究も思いの外盛んである。彼らの研究のスペクトル幅は大変広く、即ち、融合研究があちらこちらで日々生まれようとしているのである。融合研究の場であるAIMRで手に入れた幅広い視野は、大阪の地においても私が研究者であるための力となっている。