超臨界反応の研究の新展開|阿尻研究室|東北大学 WPI-AIMR 原子分子材料科学高等研究機構ソフトマテリアルグループ多元物質科学研究所プロセスシステム工学研究部門 超臨界ナノ工学研究分野

超臨界を語る

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【Vol.05】超臨界反応の研究の新展開

超臨界を語る|阿尻研究室私は、平成元年に東北大学へやって来て、当時は世界的にもまだ未成熟だった反応の研究を新井先生と一緒に始めました。先にも述べましたが、超臨界流体の反応の溶媒としての魅力は、下水汚泥の処理だけではなく、もっと色々な応用ができるのではないかと思っていました。相平衡の制御性、低粘性・高拡散だけでなく、溶媒効果の制御性も、従来の液体溶媒にはない新反応特性が期待できるからです。超臨界反応をKeywordに、バイオマスの変換の技術、有機合成、無機、ナノ粒子の合成の研究、そうした研究を片端から始めました。今行われている反応の研究のほとんどの研究は当時、手を付けたといっても過言ではありません。当時、博士過程で最先端の研究を行った学生も、今は世界的な研究者として活躍しています。熊本大学の佐々木満准教授、東北大スミス研の相田卓助教はバイオマス分解の研究を、東北大スミス研の渡邊賢准教授は、重質油、プラスチックリサイクルの研究を、産業総合研究所の伯田博士はナノ粒子合成の研究を、宇都宮大学の佐藤准教授は重質油改質の研究を、そして一関高専の長田准教授、産業総合研究所の陶博士、南博士はこれらの反応に関連した基礎物性研究を行っていました。今も、引き続き、これらの研究を進めていますが、そのベースは25年前の「超臨界反応」の研究のスタートにあるわけです。

超臨界を語る|阿尻研究室東北大学において、どのように超臨界研究が花開いていったかの歴史をたどりましたが、このように、高温・高圧の物性・相平衡、反応・分離プロセス開発と、基礎から応用に至るまで、全ての分野の研究を行っている研究拠点は、世界的にもありません。まさに、世界の中でも貴重な研究拠点となっていると思います。