研究内容|阿尻研究室|東北大学 WPI-AIMR 原子分子材料科学高等研究機構ソフトマテリアルグループ多元物質科学研究所プロセスシステム工学研究部門 超臨界ナノ工学研究分野

研究内容

今までにない触媒の研究開発

  CeO2は、酸化にも還元にも効く触媒として知られています。最近の物理の計算科学によって、100面を出せれば、より高い触媒機能が発現 されることが予測されていました。しかし、100面は不安定なため、安定な111面が露出した結晶しか得られていませんでした。とくに、触媒反応速度の向上を目的に、微粒子化しようとするとその傾向はさらに大きくなります。100面を露出したナノ粒子触媒の合成は不可能と考えられ ていました。
  ところが、超臨界場での有機修飾ナノ粒子合成法では、最も不安定な(つまり活性な)100面が主に修飾され、その結果、その面の成長が抑制 されます。これにより、100面が露出した数nmのナノ粒子をはじめて合成できました(図1)。図2には、触媒活性の指標であるOSC(酸素 吸蔵量)を示します。通常の触媒ではみられない、非常に低温でも、触媒活性があることが示唆されました。
  さらに、この触媒は、熱水中で、重質な炭化水素を分解する触媒として機能することがわかりました。コークの生成を生じず、軽質化だけが生じることがわかりました(図3 軽質化した重質油の写真)。
  画期的な触媒の創製です。

立方体のナノ粒子ができる機構を示した図
図1 立方体のナノ粒子ができる機構を示した図


図2 100面露出CeO2のOSC

100面CeO2ナノ触媒による重質油のコークレス軽質化
図3 100面CeO2ナノ触媒による重質油のコークレス軽質化